公営墓地とは

編集=山田 賢人

公営墓地とは、都道府県や市町村などの自治体が所有している墓地です。所有権自体は自治体にありますが、実際の管理・運営は財団法人などが代行している場合も少なくありません。

公営墓地の概要と現状

公営墓地は民営墓地や寺院墓地よりも永代使用料や管理料が安く、人気も高い傾向にあります。永代使用権とは、墓地を永代に渡って使用する権利のことで、それに支払う代金を永代使用料といいます。

つまり、住宅分譲地のように土地の所有権を得ることではなく、あくまでもその墓地を使用する権利を得るということです。永代使用料は、最初に墓地を取得した時に納めるもので、祭祀の相続者が代々変わっても、永代にわたって使用可能です。

永代使用料は安い順番に公営・民営・寺院であるといわれています。しかし、公営霊園は墓地面積が大きな区画しかないことがあり、小さな面積でも販売されている民営霊園よりも費用がかさむこともあります。

また、管理費とは墓地の清掃や運営にかかる経費のことをいいます。毎年支払う必要があり、東京の公営墓地では1㎡あたり620円~、民営霊園では5000円~1万5000円程度、寺院墓地ではお布施や冥加金の名目で6000円~2万4000円程度必要とされています。都市型霊園の方が、郊外の霊園よりも価格が高くなる傾向にあります。

実際には希望する公営墓地の場所が決定したら、申し込みをします。公営墓地は一般に応募申し込み制で、希望者が多い墓地は抽選となります。募集は年1回程度のペースで行われますが、募集数に対して申込を者が多い状況は変わらず、抽選の競争率も非常に高いのが現実です。

また、申し込みに当たっての条件がいくつか設定されています。公営墓地は都道府県や市町村が運営している墓地ですから、そこに墓を求めるには、原則としてその都道府県および市町村の住民であることも条件になります。

そのほかにも、住民登録後一定期間以上の居住実績があること、継承者がいること、手元に遺骨があることなど、都道府県や自治体によって必要な条件が定められており、それらを満たしていないと申し込めません。

詳細な申し込み条件などは、それぞれの都道府県・自治体の霊園担当窓口に問い合わせましょう。

公営墓地は寺院墓地のような宗教上の制限はなく、永代使用料が比較的安価なことに加え、公営という安心感があります。このため、お墓を必要とする人の多くが公営墓地を希望しています。

公営墓地のお墓は区画墓地が中心ですが、人口の多い東京都や首都圏大都市ではほぼ満杯状態で、供給不足が続いてきました。

しかし、最近は、継承者がいなかったり、管理費が未払いのまま使用権者と連絡がつかないなどで無縁墓となるケースもあり、空きが出ています。

このため、東京都や横浜市では、継承を前提とした永代使用の区画墓地ではなく、共用型の集合墓や合葬墓などを新たに計画し、造成しています。

どんな公営墓地を選べばいいのか?

公営墓地にお墓を建てることを決定した場合、最初に決めるのはどの地域の公営墓地にするのかです。地域が決まったら、その地域の公営墓地のパンフレットを集め、ホームページなどから情報収集、資料請求などを行います。

ここでは、どんなことに注意して公営墓地を決めたらいいのか、簡単に紹介します。

墓地の立地条件の第一は、やはり「お参りに行きやすい場所」ということです。自分だけでなく、家族や親族が車、あるいは電車・バスなどの交通手段を使って無理なく行けるという視点で考えることが大切です。

また、周辺の地形も考慮したいポイントになります。急な坂が多かったり、階段が多かったりすると高齢者や足腰の悪い人には大変な労力が伴います。

車でお墓参りに出向く場合も多いことを考慮し、駐車場の有無は要確認です。そのほか「送迎バスはあるか」「法要施設はあるか」、墓地内の休憩所、生花や線香の売店、水汲み場の水道施設、トイレなど、お墓参りをする際に必要な設備が整っているかどうかを確認しておきましょう。

墓地に眠る家族のことを考えて、日当たりはいいか、風通しはいいか、騒音は大丈夫か、水はけはいいか、ということもチェックする必要があります。

特に納骨室が地下にあるタイプでは、水はけの良し悪しが、納骨された遺骨が清浄な状態に保たれるかどうかに影響してきます。

墓地の運営や管理体制も、墓地を決める重要なポイントの一つです。また、寺院墓地の場合は基本的に檀家になり、その寺院宗教の信徒であることが必要です。

しかし、公営墓地は、宗教や宗派による制限はありません。仏教、神道、キリスト教など、宗教を問わず受け入れてくれますので宗旨の心配はありません。

公営墓地での注意点

現在、ほとんどの民間霊園(民営墓地)では、その霊園指定の石材店が決められている「指定石材店制」が導入されています。

「指定石材店制」とは、その霊園にお墓を建てる場合、「霊園が指定している石材店に依頼してお墓を建てなければいけない」ということです。知り合いの石材店や、気に入った石材店があっても、そこに依頼することができません。

例外もあるようですが、大半の民間の霊園では、見学に行った時点で、自動的に石材店が振り分けられてしまいます。要は「石材店を選択する余地がない」ということになります。

しかし、公営墓地の場合は「指定石材店制」ではないので、自由に石材店を選択できます。墓石は金額的に非常に高価なものになるので、自分の目で選んだ信頼できる石材店に依頼するのが最も安心です。そういう意味では「石材店が選べる」ということは、大きな利点と考えることができます。

公営墓地にお墓を建てると決めたら、まずは墓地所在地域の石材店をいくつか当たってみるのが良いでしょう。店の人の対応なども確認し、安心して任せられる石材店を選んで下さい。

また、注意点として公営墓地の使用許可が取り消されるケースについて紹介します。

■お墓の設置以外の目的に墓地を使用した時
■使用権を譲渡した時、または転貸した時
■使用者が死亡し、継承するものがない時
■使用者の所在が不明となり20年を経過した時

などの場合は、使用許可が取り消される可能性が高いので注意して下さい。これら以外にも公営墓地にはさまざまな規約があります。各都道府県によって違いがありますので、申込や購入前に、それらをしっかりと把握しておくことが大切です。

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この記事の監修者渡井 健次郎(わたい けんじろう)

葬儀業全般に関わるプロデュースを行う有限会社芋忠本店の代表取締役。地域の古いしきたりを重んじながら、新しい時代の葬送文化を手掛ける。[詳細プロフィール]

今回の記事はいかがでしたか?

  1. 費用、管理などの面で公営墓地に人気が集まるのも納得できますね。ところで、申し込んでからの抽選ということなんですが、実際はどれくらいの競争率になりますか?

    ナビプロさん

  2. 人気が集中しているといわれる東京都のデータじゃが、2010年度の平均倍率は約10倍。土地面積が狭く、費用もかからない墓地では30倍という場所もあるのう。

    本ドウさん

  3. 確かに狭き門ですね。でも、当選しても石材店から墓石を購入しなくてはいけないことを考えると、少しでも費用は安くしたい気持ちは理解できます。

    ハルちゃん

  4. みんなが墓地を必要としているなら、そのうち日本全国のあらゆる場所に墓地ができるのかな?なんか怖い。

    ペン知ルくん

  5. そうとも言い切れん。人口と同じで大都市で増加し、地方では減少しているようじゃ。既に日本の人口はピークだと考えられていて、20年後くらいからは墓地は減少の一途をたどるとする予測もある。

    本ドウさん

  6. 墓石を購入する必要がない埋葬方法の浸透も、墓地・霊園の増加に歯止めをかけそうですね。

    ナビプロさん

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